足立・新田にある駄菓子店「セキノ商店」(足立区新田3)が1杯40円で提供していた「こぶつゆラーメン」が8月29日で終了した。このラーメンはネットで話題を集めていたほか、店主・関野ヤヨ子さんの生い立ちがテレビで放映されるなどしていた。
関野さんは「体力の限界。こぶつゆを柄杓(ひしゃく)で皿に注ぐとき、つまずいて子どもたちにかかってしまっては大変だから」と話す。最近の人気に関しては「たくさんの人が来てくれるようになってとてもうれしい。でも私も高齢、これ以上は続けられない。麺を仕入れているところも店を畳んでしまうので、ちょうどいい機会と思った」と心境を明かす。
通りを通る子どもたちから「ただいま」とあいさつされたり、「おばちゃん手伝うよ」と手を貸してくれたりする子どもが多く、日々幸福感を感じていたという。これまでを振り返り、「お金を持って来られない子どもに、そっと『こぶつゆ』を出してあげたこともあった」と笑顔で話す。
50年続いてきた昭和の味がまた一つ消えた。最終日は、「きょうでこぶつゆはおしまいです」と書いた手書きの紙を貼り出し、「こぶつゆラーメン」を愛する地元の人の口コミだけで集まった客に提供して終了した。駄菓子店は続けていくため、関野さんの子どもへ対する愛情はこれから先も続く。
営業時間は「お昼くらいから暗くなるまで」。