「知らない路地の映画祭」が10月20日・21日、北千住にある「仲町の家」(足立区仲町)で開催された。
主催する「知らない路地の映画祭」制作委員会は、「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」のレジデントアーティスト・友政麻理子さんが発起人となり2015に立ち上げられた。千住地域で自主映画と手作りの映画祭を行い、昨年からはNPOとして活動している。
「仲町の家」があるミリオン通り商店街には、かつて映画館「ミリオン座」があった。今回上映された映画は、この街でのさまざまな人との出会いからつくられた。映画制作は素材集めから始まった。ロケハン散歩や出会った人々との語らいを通して映画の素を探していった。シナリオづくり、撮影や編集、音楽、監督も一般参加者が担っている。
「映画は多くの人の力を借りてできている。映画は観客の皆さんに見ていただくことで初めて像を結ぶ。映画づくりを通して私たちが暮らす身近なまちを『知らないまち』として捉えることで、まちの新たな一面を浮かび上がらせる。そして私たちはどんな新しいまちの像を浮かび上げることができるのか」と友政さんは話す。
当日は、和田間さんが監督を務める「みみのなかのおと」、工藤康浩さん理佳子さん夫婦が監督を務める「キラル☆キラル」、「ソウル∞ソウル」、小野伸輔さんが監督を務める「右近博士のドリーム装置」、KEVIN A. MUNDTさんや東京芸術大学の学生がワークショップで制作した作品など7本の映画が上映された。
工藤康浩さんは「夫婦で何を撮るかを話す段階で『匂い』を撮りたいと言われた。街の匂いは何だか人々をホッとさせる。映像で街の匂いを表現するため、千住の匂いを街中でたくさん嗅いだ」と振り返る。「僕たちの映画はとても小さいけれど、一人でいいから幸せになってくれたら」と涙で目を光らせる。
同NPOの代表でもある工藤理佳子さんは「『ソウル∞ソウル』はグリーフケアがテーマ。我々の強い思いは、街の人々をはじめとした多くの人々のおかげで作り上げることができた。思いがあれば作れる。強い思いがある人にぜひ、映画制作に参加してほしい」と呼び掛ける。