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足立・新田の高齢者向け住宅で修了式 東京芸大生らが1年同居

オウカミのス担当引き継ぎの様子

オウカミのス担当引き継ぎの様子

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 サービス付き高齢者向け住宅「そんぽの家S 王子神谷」(足立区新田1)で3月、修了式が行われた。約1年間入居していた、20代と30代のアーティスト2人が3月末に施設での活動を終えた。

4月から入居する楼さんと柳さん

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 東京芸術大学とSOMPOケアが行う「アーティスト・イン・そんぽの家S 王子神谷」は、アーティストが同社運営のサービス付き高齢者向け住宅に1年間居住し、そこに住む人々との関係を育みながら作品を展開するプロジェクト。

 1年間を通して、施設1階の食堂の一角をカフェに見立て、コミュニティースペース「オウカミのス」を展開し活動してきた2人。期間中、新田地域学習センターとコラボイベントを行ったり、近隣のワークショップグループにイベント会場を提供したり、新田保育園の音楽会に利用者と共に参加したりと、地域交流、世代間交流にも力を入れてきた。

 修了式当日は施設入居者約20人が参列した。冒頭、アーティスト2人が入居者、近隣の小学生らと共に手作りで仕上げた1年の記念アルバムを入居者へと贈呈。その後、来年度から入居する新しいアーティスト2人が登場し、替え歌で引き継ぎを祝った。

 入居アーティスト垣内晴さんは同大4年生。この1年について、「私はこの場所で、いろいろな人からたくさんのことを教えてもらったが、特に『敬うこと』や『愛し方』を、どの入居者さんからも教わった。歳を重ねることは、うれしいことや悲しいことと何度も何度も出合うこと。だからこそ、自分の目の前の存在を『日常の当たり前』に惑わされずに見つめることができる。それはきっと、若ければ若いほど難しいこと」と話す。

 もう一人のアーティスト横田紗世さんは「施設での生活を通して、入居されている皆さんから何でもないようなことまでたくさん褒めてもらえ、ありがとうを浴びせてもらえた。おかげで皆さんに褒められながら『自分を信じられる気持ち』を育ててもらったように感じる。今後のことは決まっていないが、明日からの人生も何となく大丈夫そうだと思う」と笑って話す。

 4月から入居するのは、同大修士過程を今年修了した2人。車や部屋など日常の空間を劇場とし、演劇の手法を用いた作品を制作している柳雄斗さんと、上海からの留学生で日本の地域づくりに興味を持ち、指紋や掌紋などをテーマに作品制作に取り組んできた楼じぇ琳さん。2人は「そんぽの家の皆さんや地域の人々と関わりを大切にしながら一年を送りたい」と話す。

入居期間は2019年4月から2020年3月まで。

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